
海外は欧米を中心に日本以上のインフレが起こっています。
ただし、賃金上昇も伴っているケースが多く、日本とは違って良いインフレの国や地域が多いです。
日本のインフレは円安を理由に為替レートの影響を受けやすい商品・サービスの値上げが著しいですが、海外は為替レートの影響が日本と異なる状況です。
たとえばiPhoneは日本だと値上げ傾向が続いていますが、アメリカでは無印モデルを中心にほぼ据え置きの価格で新モデルが投入されています。
2022年の消費者物価上昇率(インフレ率)を国別に見ると、日本は2.5%で先進国の中ではトップクラスに低い水準です。
ジンバブエやベネズエラなど100%超えの物価上昇率を誇る国もあり、経済に悪影響を及ぼしています。
アメリカのインフレ率は7.99%。ヨーロッパの主要先進国も5~10%のインフレ率になっている国が多いです。
欧米を中心に海外では賃金上昇も伴う良いインフレが起こっています。
なお、消費者物価指数は国によって算出方法が異なるため、単純に各国が発表しているインフレ率に応じた差があるとは限りません。
日本の消費者物価指数(CPI)は実態よりもインフレ率を高く表示する計算式になっているため、日本は指数以上に海外よりもインフレ率が低いです。
各国の物価を示す指標としてビッグマック指数というものがあります。
マクドナルドのビッグマック単品価格の推移を示したもので、日本は2005年が250円だったのに対して2024年1月24日の値上げで480円になりました。
ただし、日本は為替レートの影響を大きく受けていてモスバーガーなど他のハンバーガーチェーンはマクドナルドに比べて値上げ幅が低いです。
また、日本のビッグマック価格は1995年が390円で、そこから2005年まで値下げされてきた歴史があります。
アメリカのビッグマック価格は2024年1月現在5.69ドルです。1ドル150円換算だと853円になるため日本より大幅に高く、安い時は2ドル程度で販売されていました。
値上げ率は日本より高いですが、極端な違いがあると言える差ではありません。
ランチをする時の平均価格は、アメリカの都市部だと15ドル前後でチップを入れると20ドルくらいになることもあります。
1ドル150円で換算するとランチで3,000円はかなり高い水準です。ただし、マクドナルドなら10ドル程度でランチを食べることが可能です。
日本はワンコインランチの選択肢が少なくなりましたが、安さを重視すれば1,000円以下で食べられるランチがたくさんあります。
一方で都市部のお洒落なお店などでランチを食べたら一食1,500~2,000円になることがあり、一昔前に比べて1.5~2倍近くになっています。
海外ではランチで2,000~3,000円が当たり前と言われることがありますが、それは観光客向けのお店などを利用した場合の目安です。
昨今は歴史的な円安のため日本円換算での値上げ幅が大きくなっていますが、ランチ価格のインフレ率は日本も海外も極端な差ではありません。
アメリカでは日本以上のインフレ状況になっていますが、生活の負担はそれほど大きくなっていません。
それは賃上げがインフレ以上に進んでいるからです。アメリカは直近20年くらい景気が良い状態が続いていると言われています。
最低賃金や平均賃金は州・市によって大きく変わりますが、地域によっては最低賃金19ドル。平均賃金25ドル前後です。
ニューヨーク市の2019年の平均年収は6万9,211ドル(当時の為替レートで約770万円)。
2023年11月に発表された平均年収は過去最高の7万9,160ドル(当時の為替レートで約1,180万円)でした。
現地通貨で見ても大幅な年収アップが実現されていて、インフレ率を補っています。
隣国の韓国も現在では平均年収が日本を上回っていて、日本は海外と比較して生活への負担が大きくなっていることが分かります。